5/04/2017

'Kamechiyo' by woopheadclrms (Wasabi Tapes)

'Kamechiyo' by woopheadclrms (Wasabi Tapes)

Wasabi Tapesのnew shitは愛知県在住のトラックメイカーwoopheadclrmsによるフルレングス。toiret status、食品まつり、CVNらの活躍によって日本の現行のエクスペリメンタルを論ずるとき、そのキーワードはカットアップとコラージュであることは疑いようのない事実である。彼らはなぜ素材を過剰に刻むのか、彼らは何故異なる文脈を接続するのかを考えることは今後に今を伝えるために必須なのだ。その体系は近いうちにまとめるとして、woopheadclrmsは次なるtoiret statusとでも云うべきポップ・ミュージック起点の軟性・硬性
ビート〜アンビエント〜コラージュを展開している。「ONODA」のような躁テンションかつメタリックなまさにtoiret status節ビートもあるが、woopheadclrmsにはトクマルシューゴのようなトイポップも感じるし、オオルタイチの名前も引用したくなるレンジの広さがある。『Kamechiyo』のオープニングを飾る「Dig」はオリエンタル・ニューエイジを背景にジャンルレスかつランダムな複数の有機素材が折り重なり独特なこの世でないユートピアを作り上げている。ミュージック・ヴィデオのディレクターはwoopheadclrms本人によるもの。



20曲に及ぶ壮大なポップ・ビート・コレクションである力作『Kamechiyo』は彼にとって現時点でのマスターピースであることは間違いないだろう。おもちゃ箱をひっくり返すだけでは飽き足らず追い打ちの如くクラッシュし、ドロドロに溶かし、子供の残酷さをダイレクトに抽出したファンシー・バイオレンスとして悪夢のような時間は一度聴くとしばらくは距離を取りたくなる、が、この中毒性はダンボの「ピンク・エレファント」シーン的なサイケ感がありどうも危うい。このガン決まりな世界はどう考えても求心力が高いだろう。