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11/23/2018

イン・ア・ゲームスケープ:ヴィデオ・ゲームの風景,リアリティ,物語,自我

イン・ア・ゲームスケープ:
ヴィデオ・ゲームの風景,リアリティ,物語,自我


会期:2018年12月15日(土)—2019年3月10日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA





開催概要

会期:2018年12月15日(土)—2019年3月10日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA
開館時間:午前11時—午後6時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(月曜が,祝日もしくは振替休日の場合翌日.ただし2/11[月]は休館,2/12[火]は開館),年末年始(12/28–1/4),保守点検日(2/10)
入場料:一般・大学生 500円(400円)/高校生以下無料 
*( )内は15名様以上の団体料金
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](東日本電信電話株式会社)
*諸事情により開館時間の変更および休館の可能性がございます.最新情報はホームページなどでお知らせいたします.
NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
住所:〒163-1404 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
アクセス:京王新線初台駅東口から徒歩2分
お問い合わせ:0120-144199(フリーダイヤル)
E-mail:query@ntticc.or.jp
URL:http://www.ntticc.or.jp/
NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] は,日本の電話事業100周年(1990年)の記念事業として1997年4月19日,東京/西新宿・東京オペラシティタワーにオープンしたNTT東日本の運営する文化施設です.ICCは「コミュニケーション」というテーマを軸に科学技術と芸術文化の対話を促進し,豊かな未来社会を構想していきます.(東京2020公認プログラム)

展覧会概要

現代の文化としてのヴィデオ・ゲームは,文化庁メディア芸術祭※1においても顕彰の対象となり,現代の社会にも大きな影響力を持つものとなっています.それは,現代の社会のあり方を反映したものであり,また,これからの社会のありようを見出すことができるものと言ってもいいでしょう.
本展覧会では,現代のヴィデオ・ゲームのあり方や,それらが創り出す文化を検証することで,そこからどのようなことが読みとれるのかを,インディ・ゲーム※2,及び,ヴィデオ・ゲーム・アート※3の2つの動向から捉えることを試みます.
展覧会タイトルの「ゲームスケープ(Gamescape)」とは,ゲームから見た風景・社会という造語で,ヴィデオ・ゲームがそれぞれのプレイヤー,製作者にもたらす新たな世界観を表現しています.
※1 アート,エンターテインメント,アニメーション,マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに,受賞作品の鑑賞機会を提供する文化庁によるメディア芸術の総合フェスティヴァルです.
※2 個人もしくは小規模チームで制作されるヴィデオ・ゲームです.制作規模の「小ささ」ゆえ,主流となったヴィデオ・ゲームの概念を覆すような新しい表現の場ともなりつつあり,アニメーション映画,コンテンポラリー・アート,電子音楽など,ヴィデオ・ゲーム以外のさまざまなコンテクストを出自とする開発者の参入も活発化しています.
※3 ヴィデオ・ゲームに馴染み親しんできたアーティストによる,ヴィデオ・ゲームにおけるインターフェイスやゲーム空間とその構造に着目することで,私たちが日常的にプレイするゲームのもうひとつの意味を考察するなどのアプローチによって制作されたアートの総称です.

出品作家および作品例

〔インディ・ゲーム〕

Playables(ミヒャエル・フライ&マリオ・フォン・リッケンバッハ)《Plug & Play》2015年,《KIDS》2017–19年,《COIN》2017年
アニメーション作家のミヒャエル・フライとゲーム・デザイナーのマリオ・フォン・リッケンバッハによるユニット,プレイアブルズ(Playables)は,白黒のみで構成された3つのミニマルな作品を出展します.
オスとメスのプラグ人間同士の感情を欠いた交流を描く《Plug & Play》は,フライによる同名の短編アニメーション作品をゲーム化したもので,YouTuberたちによる反応やiOS,Steamなどの主要プラットフォームのレヴューを読み上げる“Review Reader”,さらにはゲームを構成する部品である「スプライト・シート」などとともに展示されることで,インディ・ゲームをめぐるコミュニティ・経済圏の存在をも可視化します.
群衆シミュレーターの《KIDS》は,来年リリース予定の新作で,インディ・ゲームが得意とする匿名化された人間像を象徴的に表現します.
《COIN》は,ヴィデオ・ゲームのインタラクティヴ性が持ち合わせる依存性を皮肉る小さなプロジェクトであり,現在に至るまで,1200万枚以上のコインが世界中の人たちにより無為に「貯金」されています. 
和田淳《マイエクササイズ》2017–19年
和田淳は,心地良い触感と間の表現によりアニメーション界で高い評価を得ているアーティストであり,この作品は,和田が取り組む,初のヴィデオ・ゲーム作品です.
ボタンを押すことで「いがぐり坊主」が腹筋をし,秋田犬にバフっとめりこむ…,ただそれだけのシンプルなゲームですが,ヴィデオ・ゲームのインタラクションを通じて,和田が追求する,アニメーションというフォーマットでは必ずしも受容者に届くとは限らない「個人的な気持ちよさ」が,プレイヤーとダイレクトに接続されます.今回は,「ボタンを押す」という経験にフォーカスを当てるための特別な装置が用意された「展示版」が出展されます.
Giant Sparrow《What Remains of Edith Finch》2017年
家族唯一の生き残りとなった17歳の少女エディスが生家の屋敷へと戻り,その奇妙に増築された家のなかで,遺品に触ることで,自分以外の一族が如何にして死んでいったのかを追体験します.
少女のPOV(Point Of View=視点)となる画面には独白のテキストが浮かび上がり,追体験のシーンでは,死の間際の穏やかで騒がしい狂気が緩やかに画面を侵食します.主観の奇妙な変容を描くそのストーリーテリングは,ゲームのみならず映画や文学の延長線にも考えられるもので,ウォーキング・シミュレーターというゲーム・ジャンルの持つ可能性を存分に発揮しています.

〔このほかの出品予定作家〕

アブドゥッラー・カラム&Causa Creations,Playdead,ルーカス・ポープ

〔ヴィデオ・ゲーム・アート〕

ハルン・ファロッキ《パラレル I–IV》2012–14年
《パラレル》は,4つのパートからなる映像インスタレーションです.様々なヴィデオ・ゲームの映像を参照しながら,ゲームの中で描かれる自然の風景や世界の境界,オブジェクトの性質,人々の振る舞いについて追求していきます.そこには,現実の風景とは全く異なる論理や法則によって構成されるヴィデオ・ゲーム特有の世界の美学が現われています.
ミルトス・マネタス《ミラクル》1996年 ほか
ミルトス・マネタスはネット・アート(net.art)のムーヴメント「Neen」の首謀者であり,1990年代からヴィデオ・ゲームを扱った作品を数多く残しています.特に「マシニマ」(ゲームエンジンを用いた映像作品)として制作された《ミラクル》は,フライトシミュレーションゲームである角度から着水すると戦闘機が絶妙なバランスで水面の上を滑走しつづける様子を映し続ける映像作品です.通常のプレイとは異なる形でゲームと関わることで生じる奇妙な瞬間を作品にしています. 
山内祥太《ZONE EATER》2017年
ヘッド・マウント・ディスプレイを使用した体験型のVR作品です.3Dスキャンによって形作られた部屋の中に,同じく3Dスキャンで作られた少し不気味な人物たちが登場します.鑑賞者は,コントローラーを使って人物に憑依することで,その人物に関する様々な行為をコントロールできるようになります.
この作品では,VRにおけるプレイヤーの身体性と,プレイヤーとゲーム内のキャラクターの憑依的な関係性が組み合わさることで,体験者自身の存在を不確かなものへと変えようとします. 

〔このほかの出品予定作家〕

COLL.EO,ジョセフ・デラップ,イップ・ユック゠ユー,JODI,谷口暁彦,ジョナタン・ヴィネル,ブレント・ワタナベ 
*このほかの出品作家や作品については,ICCホームページにて最新の情報をお知らせします.

共同キュレーション

土居伸彰
1981年東京生まれ.株式会社ニューディアー代表,新千歳空港国際アニメーション映画祭フェスティヴァル・ディレクター.インディペンデント・アニメーションについての研究者としてキャリアをスタートさせたのち,長編作品の劇場用配給,イヴェントの企画などを通じて,世界の現代作品を精力的に紹介する事業を行なうようになる.著書に『個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論』(日本アニメーション学会賞受賞),『21世紀のアニメーションがわかる本』(ともにフィルムアート社).近年はプロデュースも積極的に行ない,インディ・ゲームとアニメーションの連携の可能性にも着目.和田淳らとともにゲーム《マイエクササイズ》を開発中.
谷口暁彦
1983年生まれ.メディア・アーティスト.多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース専任講師.メディア・アート,ネット・アート,映像,彫刻など,さまざまな形態で作品を発表している.主な展覧会に「[インターネット アート これから]——ポスト・インターネットのリアリティ」(ICC,2012),「SeMA Biennale Mediacity Seoul 2016」(ソウル市立美術館,2016),個展に「滲み出る板」(GALLERY MIDORI.SO,東京,2015),「超・いま・ここ」(CALM & PUNK GALLERY,東京,2017)など.

関連イヴェント

会期中には出品作家,来日するアーティストらによるイヴェントを開催予定です.
*ICCホームページにて最新の情報をお知らせします.

東京オペラシティアートギャラリーとの相互割引

東京オペラシティアートギャラリーで同時期に開催の企画展「田根剛|未来の記憶Archaeology of the Future ─Digging & Building」「石川直樹 この星の光の地図を写す」の入場券をICC受付にてご呈示いただくと,本展に団体料金でご入場いただけます.また,東京オペラシティアートギャラリーご入場の際に,本展入場券をご呈示いただいた場合も,団体料金でご入場いただけます(他の割引との併用不可.ご本人のみ1回限り有効).

同時開催の展示

「オープン・スペース 2018 イン・トランジション」
会期:2018年6月2日(土)—2019年3月10日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
開館時間:午前11 時—午後6時
休館日:月曜日(月曜が,祝日もしくは振替休日の場合翌日.ただし2/11[月]は休館,2/12[火]は開館),年末年始(12/28–1/4),保守点検日(2/10)
入場無料
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

広報に関するお問い合わせ

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

広報担当:赤坂恵美子 企画担当:畠中実
TEL:03-5353-0800 FAX:03-5353-0900
E-mail:query@ntticc.or.jp
URL:http://www.ntticc.or.jp/

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に、行きたい。Playables、Giant Sparrow、Playdead、Lucas Pope。Giant Sparrowの「What Remains of Edith Finch」は昨年のベスト、Playdeadの「INSIDE」は一昨年のベスト。そしてLucas Popeの「Return of the Obra Dinn」は2018年のベスト。

最近は「Sable」が発表された年に「AQUAMARINE」のキックスターターが開始されたことの意味についても考えている。バンド・デシネ、というかメビウス以降の表現にゲームから近づく運動。


1/29/2017

Playdead's new concept art


2016年は『INSIDE』がとにかく素晴らしかった。さて、そのデベロッパーであるPlaydeadから新作のコンセプト・アートが公開された。『LIMBO』から『INSIDE』までに5年のスパンが設けられたことを考慮すると、この相変わらずミステリアスな新しい世界が体験できるのは随分先の話かもしれない。ファウンダーであるArnt Jensonと共に同スタジオの共同設立者としてCEOを務めてきたDino Pattiが自身の新たな挑戦のためにPlaydeadを退社したと報告したことが懸念事項としてあるが、まずは祝福をしたい。


7/03/2016

'Inside' by Playdead

Inside

 『Limbo』の開発で知られるスタジオ〈Playdead〉が、待望の新作2D・パズル・アクション『Inside』を発表した。E3 2014にて2015年上旬でのリリースをアナウンスしていたが、延期となっていた。以下はそのE3 2014にて公開されたトレーラー。



 まず、同スタジオの前作である『Limbo』について。『Limbo』は2010年にXbox Liveにてリリースされ、後にPCとPS3にも移植され述べ300万本を売り上げた、近年のインディ・ゲーム・ムーヴメントを代表する作品の一つだ。「行方不明になった妹を探しに行く」、というシンプルなストーリー。登場人物は一切言葉を発することはなく、世界は影絵かつ絵本を思わせるモノトーンであり、酷(むご)く美しい「死(ゲームオーバー)」がいたるところに転がっている。首が飛んだり、押し潰されたり、串刺しになったり。近年の表現技術の向上に即していたならば目を覆いたくなるようなゴア・シーンも、『Limbo』ならば不思議と心地良いものとなる。Andy RileyやEdward Goreyの作品のようなシュールやナンセンスをヴィデオ・ゲームで体験する、と言えば伝わりやすいだろうか。



 さて、『Inside』は先の通り発売延期もあり、5年という歳月を重ねて開発された渾身の作品なのだが、そのハードルの高さは〈Playdead〉にとっては問題のないものだったようだ。まず、今年のE3でリリース前に公開されたトレーラーを。



 私がこの映像を見て思い浮かべたのはアメリカのモダン・アートの巨人、Edward Hopperが1942年に発表した『Nighthawks』だ。『Nighthawks』はニューヨークの静かな夜に営まれるカフェの一場面を切り取った作品だが、この絵を見て感じる何とも言えない孤独や不安(私は左側の手間の男性に自分を重ねる)を『Inside』の予告から受け取った。『Nighthawks』が描かれたのは第二次世界大戦の最中であり、『Inside』は2010年代。一方は絵画であり、一方はヴィデオ・ゲームだ。前者が描きたかったのは、”「自由の国・アメリカ」の中で自分に迫る社会の重圧”だと考える。それでは、後者は?

'Nighthawks' (1942) by Edward Hopper

 『Inside』は形式としての『Limbo』の発展型である。前作と同様に”モノクロ”の世界でパズルを解きながら「死」に触れていく。違いというと、圧倒的に高品質になったグラフィックと、奴隷制度?人間を管理する工場?刑務所?が配置されたディストピアという世界設定、そして、『Nighthawks』の空間的な静けさだ。テクノロジーの発達を享受し、時代を先行する大企業のオフィスや工場には、数多の従業員が日々の業務に取り組んでおり、「毎日」が繰り返されていく。自分の仕事を必死にこなす中で、段々とフロアから光が消えていき、昼間の騒々しい環境から静寂に変わる。今日も残業か、と溜息をつく。時刻は23時を過ぎたところだ。
 『Inside』はよくある”ディストピアもの”の”不条理ゲー”ではない。社会に出た誰もが体験する、”都市の夜の孤独と疲弊”を歩くゲームだ。もちろん、本作はそんな日常を描いたものではないのだが、整列させられた人間と、人間らしきものが行進する・させられる異様に思える『Inside』の光景は、特別にゲームの中でのおとぎ話ではなく、都会の通勤ラッシュでも見ることは容易だ。全員が全員、スマホに吸い込まれている交差点での光景も同様である。『Inside』は『Nighthawks』の訴えるメッセージを受け取っている。
 本作のクライマックスは自身で確かめていただくとして、”あの”シーンはおぞましいとしか言いようがない。”あれ”の果てをあなたはどう考えるか。私は満員電車に詰め込まれる”人間団子”の人々のようにも映ったのだが。