Showing posts with label LOTO RETINA. Show all posts
Showing posts with label LOTO RETINA. Show all posts

10/01/2017

”Early Contact” by Léo Hoffsaes & Loto Retina


日々過ごしている、この日常を我々は実際どういう風に過ごしているのだろう?〈Orange Milk〉からのリリースも記憶に新しいLoto Retinaとリリースの数は決して多くないもののクラシカルな表現に根ざした美しい音を紡いできたLéo Hoffsaesとの共作は日常そのものの姿を丹念に追った、繊細な作品だ。

日常という文脈の中で子どもの表情、味覚、そして汚言まで並列に語られる脈絡の無さは(作品の紹介文にもあるように)聴き手を困惑させると同時に、逆説的に日常をありのまま映し出す。また、タイトルに冠された「時間」の概念と曲の中で語られる家族の姿は誰にも当てはまるような普遍性を持ちながら、その中に潜む微妙な感情の機微を浮き彫りにさせる。

その日常風景に重なるLéo Hoffsaesの持つ表現手法とLoto Retinaの持つコラージュ感覚の奇妙なコラボレーションも絶妙だ。躁鬱的とも言える弦楽器の抑揚と電子音、環境音の混淆は「語り」と付かず離れずの距離を保ち続ける。その距離感が日常の「原風景」を我々に実感させる。

Mimiのリーディングも素晴らしい。この作品は妊娠中のある女性の視点で構成されていると言えるが、そこにMimiの声が重なることでよりその女性の身体的な実体感が増す。Mimiの声は考える時に浮かぶ、あの「自分の声」の響きによく似ている。彼女の頭の中と自分の頭の中が同一のように錯覚してしまいさえする。この錯覚がより彼女の日常における意識の流れ、時間の流れを我々の中にも色濃く落とし込む。

そもそも、日常に於いて我々は何らかの順序や決められたシナリオに沿って生活を営んでいるのだろうか。自分を自分で完璧にコントロールできているのだろうか。突然やってくる予期しない出来事や自然に湧き出るとめどない感情の波に突き動かされる瞬間。妊娠という経験を通し、一人の人間の中にまた新たな命が宿る感覚。意識と無意識の狭間で揺れ動きながら、日常にある我々の存在をこの作品は美しく切り取っている。その中で最終曲「6 pm」で語られる自然の美しさや家族への言葉を聴くと、そんな日常や自分の変化や揺らぎと向き合い、なお力強く歩んでいこうとする人間の尊さに強く胸を打たれてしまうのだ。





4/20/2017

SIM MIX: #011 Loto Retina ~ 'ochiochi'


フランスのアンビエント〜コラージュ作家Loto RetinaがSIM MIXに登場。cmrmnやmgkrp、chambryなどバンドキャンプ地下とでも言うべきローファイに根ざしたビートメイカー諸作を扱っているCindy's TapeにてMac Noddy名義でAalonzeとのST作をリリースした後、Loto Retinaとしての活動を開始。日本の荒井優作とも交流のあるビートメイカーBrrdによるプロジェクトL’eoscombu CoutiとのスプリットをCarpiにて発表する。こういったキャリアを見るに彼の根底にはヒップホップのビート、サンプリングの感覚があるように思う。そこからアンビエント方面へと溶けていき、唯一無二の幻想的なコラージュを展開。乳白色、パステルカラー、サンセット。私たちが現実に目にすることの出来る美しい世界と、私たちが頭の中で想像する桃源郷、おとぎ話が違和感なく織り込まれた、夢と生活の間をぼーっと眺めている時に流れてくる音楽はLoto Retinaではないだろうか、と。異物と異物を丁寧に、左右上下に重ねる彼の繊細な指先はどこまでも美しいし、選択肢が無限になったコラージュはこれから更に深化していくと確信し、実践している立場としても、彼のサンプリング愛は頷ける部分が多い。そんなLoto Retina、先日Orange Milkからもデビューし、いよいよ次のステップへと進んだようで。

Tracklist:

  1. Paul Lansky - Um
  2. François Bayle - Vibrations/petite polyphonie
  3. Gavin Bryars - Coda
  4. Hildegard Von Bingen - III. Song to the Virgin
  5. Michel Redolfi - Immersion profonde (excerpt)
  6. John Zorn & Fred Frith - The Art Of Memory (excerpt)
  7. Toyomu - Taikou Daira
  8. Mica Levi - Lee Harvey Oswald
  9. Andrew Pekler - Mirror Structures (Mirrored)
  10. Masayoshi Fujita & Jan Jelinek - LesLang
  11. Foodman - zendama kun
  12. Tatsuhiko Asano - Night Light
  13. Takagi Masakatsu - Pianagogo - Mka