大して魅力的なタイトルが揃わないこの街にも良心的な小規模の映画館、昭和館もあり、先日鑑賞した「ナチュラルウーマン」は良かった。彼女の顔がビニルテープでぐるぐる巻きにされてしまったシーンから、最後の空っぽなサウナの貸しロッカーにかけて。彼女が期待していたのは亡くなってしまった最愛の男性の、何らかの残り香だったはず。私も見ていてそれを思っていたのだけれども、そこには何もなく。しかし、それが良かった。いつまでも故人に囚われていてはだめ。前を向いて生きないと。劇中に出てくる誰よりも彼女が美しかった。
近いところでは「ザ・スクエア 思いやりの聖域」「君の名前で僕を呼んで」「万引き家族」も観た。これは行きつけの昭和館ではなく、比較的規模の大きいところで。といっても本当に、観たい映画が観れるのは月に1回ぐらい。やっぱり、田舎だと触れたい文化が乏しいなと思う。音楽的な土壌で言えば最高に退屈で、皮肉を言えばノイズもなく創作には集中できる。ライブも、DJも、誘いが無いので。それは助かっている。...と思っていた矢先、時々お酒を飲みに行っていたクラブのオーナーから30分ほどライブをしないかと誘われた。小倉で、電子音楽。うーん、特にやりたいことじゃないなぁ....。