7/08/2018

raul altosaar - tendrils_4


http://raul.earth/

私は隔週で土曜日に出勤することがあるのだけれども、先日の土曜日はここ数日の豪雨で交通網が麻痺したおかげで出勤出来ずにいる職員が非常に多く(福岡市側在住が9割を占めている為、尚更)、極少数派の北九州在住の人と辛うじて通勤することが出来た人ぐらいしかいなくて、職場全体の1〜2割ぐらいしか人員がいなかった。そんなときに限って土木・建築の仕事は多くなるし、とにかく人が足りなかった。外回りの予定はすべてキャンセルして事務所での電話番に努めた。管理職はほぼいないし旗振りできる人があまりにも少なかった。ただ、その日の夜、疲弊して帰宅した際の、人が街に全然出歩いてない感じ、あまりにも静かで強風と雨の音しか聞こえない感じがよかった。私は家賃補助の関係で安価に住むことのできる団地に住んでいるが、この団地の空き家率は非常に高く、窓から溢れる光の数が少ない。カーテンの向こうにある生活の気配がほとんどない。暗い。その環境の中で、そして部屋を真っ暗にして映像や音楽を掘るのが好きな私として、その日のYouTubeサーフィンと、30分程度の電話、母親からの身の安全を確かめるメールはいい時間だった。Raul Altosaarの「tendrils」シリーズの新作は1分程度のビル群を写した映像で、夕立なのか、遠雷の音も聞こえて来る。バルコニーの天井の上げ裏によって狭まった視界は逆に都市の大きさを強調するようで、なんの編集もない、確実に現代であるその景色はどこか未来のようだった。強風に揺れるアルミサッシのがたつきはしばらく止まらなかった。窓から見える向かいの棟の、明かりの点いていない部屋たちを横目に、しばし、Raulの映像群に浸っていた深夜だった。