4/16/2019

メトロノリ Metoronori - まだ


穏やかな海に優しい弧を描く船跡や、雲の向こうに覗く冬をまだ忘れていない山、稜線を境に日照りと日陰のコントラストを主張する連峰だとか、それを観測する飛行機を待つ空港であるとか。夜桜・花火・郡鳥がそこにあった公園、街を滑っていくモノレールの映像と、音も。春、肌寒かった日々も落ち着きを見せ、桜は散り、季節はじわじわと巡っているわけですが、ゆらゆらと、静寂のなかで広がっていく水面のようなアンビエンスが広がる彼女の2分28秒の新しい曲、「まだ」は、規則性もなく自由に様々な音の素材やメロディが編まれていくのに雑多であるかというとそうではなく、しっかりと、伸びやかで、流麗な、そして落ち着きを払った世界になっており、そしてそこには余白もしっかりとあるものだから、受け手として情景を考える余裕が生まれ、どこまでもこの映像の先に身を預けていたい、と。