2/01/2017

Marvin Antonio ~ antibodies / CITY



ロシアはサンクトペテルブルク生まれ、現在はトロントにて活動する作家・Marvin Luvualu Antonioが短編の映像作品を複数、投下している。「antibodies」は顕微鏡のなかの世界を額縁に、GTA的なオープン・ワールドを行くヴィデオ・ゲームのドライブと、現実世界のドラレコを並列にならべ、途中でアニマルが中央に。採取した映像による路上を舞台としたミュージック・コンクレートに無機質な男性のナレーションがコラージュされ、最終的には動物の唸り声が重なってくる。背景にはスクリューされたビートが鳴っているし、『Replica』のような禍々しさを持っている。雲と排煙に霞み、夕日に燃える都市を詠う「CITY」はラストの、低音にねじ曲げられたポエトリーがあまりにもショッキング。でもどこか切ない。巨大な都市に集う人々のなかにある孤独を見つめるような。名前は出さないが、以前、とある女の子が「天気がいい日は自分だけが家にいるのかと落ち込むから嫌い」と呟いていて、それに覚えた感覚が少し近いかもしれない。