遅ればせながら。keitaro tamura氏の「であい」という作品をWasabi Tapesからリリースした。彼は子を持つ父親で、家庭に流れていく何気ない日々をフィールドレコーディングの手法で切り取り、電子音を重ねるという作風だ。他人の生活を覗き見するような背徳感はそこにはない。あるのは愛に溢れた温かい時間。子供たちの会話を録音してやろうといういやらしさもなく(いや、しているんだけどさ)、まるで誰にも見せることのない日記のような無垢が彼の作品にはあって、彼ら家族のことなんて全く詳しくは知らないのに、彼らが手を繋いで家路についている情景だとかが浮かんで、どこまでも微笑ましくて。ホームビデオや写真などで子の成長を記録していく親は多いだろうけど、こうして音作品として残していくのも愛の形として美しいなと。子供たちが思春期を迎え、そして大人になったとき、白髪の増えた親父がこうして自分たちに暖かい目線を向けていたことを知ったならば、それはそれは美しい瞬間なんだろうな。田村家に溢れる笑い声がいつまでも続いていきますように。
https://wasabitapes.bandcamp.com/album/--5