当ブログ主宰のKenji YamamotoのMIXからスタートした本イベント。パッケージから伺えるようにゲームミュージックの要素が強く感じられながらも合間に入るブギーやアンビエントに+you等のエイリアスの要素が感じられ、独特の空気感のあるMIXになっていた。また、「Black Emperor」の名そのままにプロジェクターから流れるかつての暴走族を記録した映像もイベントの期待感を高めていた。
その流れでやや緊張の面持ちでライブを始めたLe Makeup。だが、その表情とは裏腹にラップトップから発せられた音は〈NON〉や〈N.A.A.F.I〉に通ずる硬質なグライム。〈Wasabi Tapes〉からリリースされた作品からもそれは伺えたが、クラブでも十二分に存在感を示せるサウンドであり、その音をまだ19~20の青年が奏でていることもまた興味深かった。
オーガナイザーでもあるSoujがDJをし(t.a.t.uのリミックスをかけたところが個人的にベストパート)、某アーティストの変名であるLADY MONDEGREENがDJ。実際の名義同様の解像度の高い音にメロウなメロディが心地よく、飄々とDJをこなす姿も印象的に映った。
今回のメインアクトであるSamuelspaniel。彼特有の浮遊感のあるウワモノがここまでの流れと合っており、爆発的な盛り上がりはなかったがじわじわと熱量を上げていく、説得力のある音を鳴らしていた。
Samuelが終わるとディナミとYASUEのDJ。始発の時間が刻々と迫り、段々人が減っていくなかディナミのはちゃめちゃなDJとマイクを使ったカラオケパフォーマンス、スー含めその辺にいる人を誰彼かまわず巻き込む即興性はカトーマサカー関西篇として行われた「兄貴と嫁」を思い出す、というか、その再来。ディナミの前か後か記憶があやふやなのだが、YASUEがDJに徹しているということもディナミと対称的で良く、Soujとスーと合同で企画したということの強みがこの時間にあった。
最後はナイスショップスーとSoujのB2Bで〆。Samuelまでのクラブ然とした音とディナミ以降の緩い感じとのコントラストが一般的なクラブイベントには無く独特の間口の広さがあった。またKenji Yamamoto、Le Makeupの音が実際にクラブで聴けたということも一つ重要なポイントだと思う。今後ともナイスショップスー、Souj、それぞれイベントを企画していくと思われるので、チャンスがあれば是非この独特の雰囲気を直接感じとっていただきたい。最後にイベントの取材を快く引き受けてくださったナイスショップスー、Soujにこの場を借りて感謝の言葉を述べたい。
○ Black Emperor @ CHIKA-IKKAI 2016-09-09 http://simforart.blogspot.jp/2016/09/black-emperor-chika-ikkai-2016-09-09.html