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Makeup removal by Tear Souvenir [A Q U A E, 2018] |
https://aquaardens.bandcamp.com/album/tear-souvenir-makeup-removal
”世界で一番美しいレーベル”、A Q U A Eが静かに再始動した。主宰のjccgはこの1〜2年沈黙を続けていたのだが、数ヶ月前よりtwitterに彼の暮らすポルトガルはコインブラの景色を収めた写真を淡々と投稿するようになっていた。彼は音楽家であると同時に非常に優れた写真家である。彼が切り取るどこまでも瑞々しいコインブラの空気は彼の静かな佇まいと柔和に交わり、小さく美しい世界とそのアンビエンスを届けてくれている。
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Photo by jccg |
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Photo by jccg |
そして世界で数十人もチェックしていないであろう彼のyoutubeのチャンネルに曲のタイトルだけを据えて(検索でそこに行き着くわけないだろう)、新曲と思わしき動画を連日のようにアップロードしていた。それらが来るTear SouvenirによるA Q U A Eの新作であるとは知らされず。いや、その予感は勿論のこと存在していたのだが。
関係のない曲も混在して無言で投稿するものだから彼の活動は把握がしづらい。「exocore」は神聖かまってちゃん風のノイズ・パンク・コラージュといった趣きで私を混乱させた。そういえば彼はエコージャム信奉の強い人物であり(チャック・パーソンの大ファンであってヴェイパーウェイヴ、特に現在のそれとは距離を置いた)、ミーム的でない実験の脈の上に位置するサンプリングを嗜む性格であることを思い出した。
彼のようなアンビエント、ドローン、コラージュ、エコージャムの境界線が曖昧な、溶けた音楽が私は好きだ。そして今回のTear Souvenirの『Makeup removal』はまさしくその音楽が端正に並べられている。
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私が+youとして、彼がxccgとして共作しA Q U A Eからリリースしたスプリット『buranko』の、私のパートの最後に収録した楽曲はエチオピアの古い音楽をスクリューしてループさせたものだったのだが、それをまたピッチを上げて編集し直した「kenjiamigo」は巡り巡って原曲に近づいており微笑んでしまった。作ってくれてありがとう。しかし、原曲の美しさはやはり普遍的で、彼がこの曲に引っ掛かったのも感性の重なりを感じとり、嬉しい。
そのお返しとしてTear souvenir「Underneath」のQuiet editを制作した。今まで自分の声を使うのは躊躇いがあったが、本日、5月21日を以って26歳を迎えたわけで、ずっと挑戦したかった朗読や歌唱に歩を進めたい。今年の夏には+you & space xの『with u』をリリースする。その先、今年の冬か来年の春には+youの『world tour 2』をexo tapesからリリースすることを彼と約束した。メトロノリとの共作も牛歩だが進んでいる。いつかこのQuietも形になればいいな。
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『Makeup removal』を聴いていると広大な雲海が広がる。雲の海というより、雲と海。
http://aquaardens.com/releases