今年はAbsurd TRAXからリリースされたANNAの「s/t」が素晴らしかった。94年生まれで、今年この世を去った早世のSSWである彼女がiPhoneやMac Bookに遺したそれらがとにかく心を打った。トラックにしてもボーカルにしても荒さが目立つのだが、24歳の若者の生活そのものがあった。Triad God、Lil Peep、Organ Tapes、Bala Club、Sad Boys、XXXtentacion etc. 他の名前を引用するのが容易い内容と、それをグレードダウンしたような...で、あるのに、LynnのNatalia Panzerが彼女に最大の賛辞を送ることも頷けるプライベート性とでもいうのか、ある種の内省と繊細が広がる世界。私も彼女のような表現をしたいと思った。そこで、自分についてはどうしても気恥ずかしいので、大切な人についての音楽を作ろうと。2019年にAbsurd TRAXからリリース予定。ポップ・ミュージックが好きだし、唄も歌いたいし、環境を変えたいし。素晴らしい年にしたいと思う。2019's release pic.twitter.com/SFI7NPjzLs— ☃ (@exilevevo) 2018年12月25日
12/25/2018
Kenji - Shizuka
Testgelände by IanBruner(@ideath_) x DonElektro(@don_elektrq)
°TESTGELÄNDE° - is a video loop and a meditation on the blockchain technology and was created for the "The Value of What" event at the BSMNT gallery in Leipzig/Germany by Ian Bruner(@ideath_) and Don Elektro(don_elektrq) - Curator: Marian Luft (@luftmarian)
Klein - Explay
'oi ur a fucking dickhead man
all the bitches want to talk to me yh,
i don't give a damn i just wanna be, man,
i just wanna have fun.
i just want my mum, man
i just wanna cry
i just want my dad, man
i don't give a fuck
i just want to die, man
bun this guy
bun this guy
i just want fun, man
oh yeah
oi ur a fucking wasteman
i don't give a fuck
i just wanna cry, man
just leave me here
i just want a ride, man
its cold at here
- ima take my time
everyone's know ima be alright
now be alright
everyone's knows ima bun that guy
nah fuck this guy
i don't give a damn
i just want my mum
nah but seriously
(at 2.03) - get it, lets go
i just don't understand'
Clinically Dead alternate ending
Pawel Mogilaは一体何をしたいのかという疑問もどこ吹く風。彼は今日も数年前に公開したゲームの映像を小出しに誰も見ていないYouTubeに放流し続けている。にしてもこの作品は音が抜群に良いなぁ。サンプリング決定。
BBY GOYARD - GO AWAY (prod. mixed matches) (C&S. by ziti)
ノースカロライナのMC・BBY GOYARDと、プロデューサー・mixed matchesによる「Go Away」、よく聴いている。
12/15/2018
𝒔𝒆𝒍𝒇-𝒄𝒂𝒓𝒆 𝒔𝒕𝒊𝒕𝒄𝒉𝒆𝒔 ✨✨ (shawn x bod x kenji x n brennan x jb x emptyset x michaelbrailey)
𝒔𝒆𝒍𝒇-𝒄𝒂𝒓𝒆 𝒔𝒕𝒊𝒕𝒄𝒉𝒆𝒔 ✨✨ (shawn x bod x kenji x n brennan x jb x emptyset x michaelbrailey)
マンチェスターのプロデューサーでVIRTUALLYREALITYの主宰も務めるMICHAELBRAILEYの声がけで、bod [包家巷]や私の曲を中心にコラージュし、ショーン・メンデスやジャスティン・ビーバーのアカペラをサンプリング、NATURAL ORTHODOXYとのスプリット・カセットをリリースしている同郷マンチェスターのLeoがマスタリングを担当した楽曲「𝒔𝒆𝒍𝒇-𝒄𝒂𝒓𝒆 𝒔𝒕𝒊𝒕𝒄𝒉𝒆𝒔 ✨✨」が公開されました。ダウンロード可能です。K/A/T/O MASSACRE vol.199でプレイした際にセットの終盤で流しました✌︎
2018年12月8日・9日 /// Stu Miley - Stu Miley EP [Wasabi Tapes]
2018年12月8日
toiret statusの友人であるkazuki shinoharaさんが初めて主催するイベント「Re:」に出演するために午後休を取得し、在来線で開催地の防府市へ。防府市は私が生まれ育った街で、瀬戸内海に面する人口10万人程度の寂れた地方都市だ。一番の繁華街であるはずの防府駅付近でさえイオンがある以外は何もない。背の低い古びたビルが申し訳程度に並ぶも百メートル程度でそれは途絶え、その向こうには山々が見える。市で一番の観光名所である防府天満宮からまっすぐと伸びた街道には商店街があるが、9割以上はシャッターを閉じていた。就職と同時に街を捨てたが帰省のたびにこの街が乾いていることを痛感する。本当に何もないな、と。しかし、「Re:」が開催されたBAR印度洋は西日本では有数のアンダーグラウンドな箱だ。過去に出演してきたミュージシャンを挙げるときりがないが、10年ぐらい前にLightning Boltがツアーで寄るぐらいには信頼されている。そしてそこに当時高校生の自分と20歳ぐらいのtoiret statusが観客として同じ空間にいたことを知ったのは2018年の冬の話だった。運命というものを信じてよいのでしょうか。
2018年12月9日
喫煙者の自分にはタバコと思い出は紐づくことが多く、この二日間で印象的なそのタイミングがあった。非常に冷え込んだ空気のなかで見る、慣れ親しんだはずの地元の風景が、また新鮮に映る。
以前より取り組んでいたStu MileyのEPが完成したので最後に収録した「Humanity」のビデオを制作した。リナチョが撮影してくれたK/A/T/O Massacreでの映像と、kazuki shinoharaさんが撮影してくれたRe:での映像を使用した。私を呼んでくださった加藤さん、shinoharaさん、改めてありがとうございました。初めてお会いした方も、久しぶりにあった方も。また来年、よろしくお願いします。
Stu Miley - Humanity (Official Music Video)
toiret statusの友人であるkazuki shinoharaさんが初めて主催するイベント「Re:」に出演するために午後休を取得し、在来線で開催地の防府市へ。防府市は私が生まれ育った街で、瀬戸内海に面する人口10万人程度の寂れた地方都市だ。一番の繁華街であるはずの防府駅付近でさえイオンがある以外は何もない。背の低い古びたビルが申し訳程度に並ぶも百メートル程度でそれは途絶え、その向こうには山々が見える。市で一番の観光名所である防府天満宮からまっすぐと伸びた街道には商店街があるが、9割以上はシャッターを閉じていた。就職と同時に街を捨てたが帰省のたびにこの街が乾いていることを痛感する。本当に何もないな、と。しかし、「Re:」が開催されたBAR印度洋は西日本では有数のアンダーグラウンドな箱だ。過去に出演してきたミュージシャンを挙げるときりがないが、10年ぐらい前にLightning Boltがツアーで寄るぐらいには信頼されている。そしてそこに当時高校生の自分と20歳ぐらいのtoiret statusが観客として同じ空間にいたことを知ったのは2018年の冬の話だった。運命というものを信じてよいのでしょうか。
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「Re:」はshinoharaさんが最も愛を寄せる東京のユニットdetune.、同じく東京よりメトロノリ、その他の短編ズでも活動する福岡のSSW・森脇ひとみさん、地元勢としてtoiret statusと私といった具合のキャスティング。自分が生まれ育った街でこういった面々と並ぶことができるのが幸せだった。僭越ながらdetune.と森脇ひとみさんは初めて知ったのだけれども、後述するが彼らも素晴らしかった。そして、何より、初めてメトロノリのライブが見れることが嬉しかった。彼女のことを知ってから数年の月日が流れており、ようやくだったので。
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最近、自分が偏っているだけでしかないが、激しい音楽に多く耳が触れていたので、その状況に少し疲れていた身としては、今回のメンバーはゆったりと落ち着くことが出来そうだなと期待していた。そこでも改めて自覚するのが自分はクラブ側の人間ではないということ。どう偽っても自分はクラブらしいかっこよさのようなものは備わない。これは決別の宣言ではなく、人の属性の話として。私はどこまでいっても、結局は、街ではなくベッドルームの人間なのだと思う。その内省さが時代に沿う必要はないはずで、純粋な自分はそうだから。 ▶︎1
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森脇ひとみさん。アコースティックギター、iPhone、マイクでのライブ。アコギの弾き語りやiPhoneから直接の出力でのラップ(?)などがゆったりとしたテンポで進む。西日本にはナフコというホームセンターが展開しているのだが、そのナフコの、「店内放送の歌の続きを唄います」とナチュラルに面白い口上があったり、ラップなのか不明だったポップソングが終了したあとに「いまのはエミネムという曲です」とオチをつけたり、エンヤの「ワイルド・チャイルド」の日本語詞カバーを熱唱したり、とにかく微笑ましかった。(メトロノリとdetune.含み)1曲ごとに拍手が起こるライブというのが数年ぶりだったので新鮮。セーターの色がよかった。
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toiret status。彼と共演するのも5回目ぐらいだろうか。「YamaGucci 2」を完成させると言いながら今年も夢叶わず。Noumenal Loom側はアートワークを既に制作済みなのでいよいよ怒られるのではないかと心配している。2019年こそ...。ライブについて:彼のライブはとにかく変だしポップだし踊れる。更にはあの手の音でありながらバリバリに自分も唄うのが何より強い。定番の流れを挟みつつ、トランス、トラップ、メタルなどを横断する新機軸も披露。それでいてtoiret statusというパッケージを逸脱せずに統一感のある世界を提示。印度洋の雰囲気も相俟って圧巻のプレイだった。彼には行くところまで行ってほしい。
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▶︎1 と、いう意識もあり、今までで初めて座ってプレイしたい旨を主催側には伝えた。照明も出来る限り落として、観客にも座ってほしいと。私は人を踊らせることが出来ないのだし、リラックスして聴いてほしかった。Forestlimitとはまったく違う内容のセットを組んでいて、隙間を作ろうと意識した。個人的に2018年で最も満足のいく内容だった。観客の意識もForestlimitとは違っていたので、互いの姿勢が合致したというのもあると思う(ForestlimitのK/A/T/O Massacreは「パーティー」、BAR印度洋のRe:は「ライブ」の違いだった)。今後についても積極的にDJやライブをしないのは絶対に変わらないけれど、もしその機会があるときに自分がどうしたいのか、どう表現したいのかに納得がいく時間だった。となると箱の仕様によるCDJからは卒業したい。憧れのカール・ストーン。彼はラップトップ1台を座りながらタッチし、それをライブとする。私もそれでいい。
*
メトロノリ。彼女のことを知ったのは5年前くらいで、以来、彼女の作品を聴き続けている。MadeggのKazumichi Komatsuとメトロノリとは同い年で、そういった縁(?)もあり、彼らのことは何かと気になってしまう。やはり、まったく同じ時間を生きて来た人物の表現というのは、そもそも二人が年齢がどうとか関係なしに有力なアーティストであるというだけなのだが、興味があるので。ライブについて:メインの機材はキーボード、SP-404。SP-404でトラックを流しながらそこに音を重ねていき、唄う。彼女の楽曲は複雑だし、ボーカルの配置が独特(メロディとボーカルのパーセンテージが限りなくイーブンな人だと思う。比喩するならば「声が曲に溶け込んでいる」。)なので、その繊細な世界がライブでどう表現されるのか気になっていたが、それは杞憂だった。とにかく再現の妙と生の説得力が凄かった。水彩画のように滑らかなアンビエンス、抽象と具体のポップミュージック、「実験」の意識のないエクスペリメンタルなビート、歌声。あらゆる要素が幾重にも重なり、それらの比重が曲ごとにナチュラルに変わっていく。彼女自身が嫌うように彼女の音楽はカテゴライズできないし、する必要性を感じない。Foodmanにも通じるのだが彼と彼女は音が彼らそのものだ。裏表のない、人(ニン)の音楽。地元という環境も前提として最高にエモーショナルだった。
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detune.。キーボードとベースのユニットで、プロのミュージシャン。前述の通りに僭越ながら彼らのことを存じ上げなかったのだが、やはり実績あるプロだけあって純粋に技術が段違いだった。知久寿焼や原マスミに影響を受けているようなボーカルで、全体的にゆったりとした曲調。いい意味で眠たくなるライブ。しばらくこういうライブを経験してなかったなぁ、と。detune.の、という狭義の意味でなく全般的な「コンサート」に行きたくなった。公会堂とかでオペラやクラシックを経験したい。
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全5組。全員持ち時間40分程度(detune.はトリかつプロだし当然他より長め)。ダンサブルなtoiret status以外は全員が腰掛けながらの鑑賞だった。繰り返すが本当にこういうライブが久しぶりで、体力気力共に途切れることがなく、情報量が前向きに少なくて、どんどんと音に没入していく感覚。全員が方向性が違うのに脳の切り替えが必要なく、山口という超がつく田舎のシャイな人が多い土地柄、アンダーグラウンドなBAR印度洋という箱の環境もあったのか、イベント全体の雰囲気が心地よかった。自分の発見と納得もあり、メトロノリのライブを見るという願いも叶い、個人的には2018年ラストを締めくくるに最良の時間だった。主催のkazuki shinoharaさんのホスピタリティ溢れる精神がそれに寄与していたことは言うまでもなく。とにかくお疲れ様でした。喫煙者の自分にはタバコと思い出は紐づくことが多く、この二日間で印象的なそのタイミングがあった。非常に冷え込んだ空気のなかで見る、慣れ親しんだはずの地元の風景が、また新鮮に映る。
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以前より取り組んでいたStu MileyのEPが完成したので最後に収録した「Humanity」のビデオを制作した。リナチョが撮影してくれたK/A/T/O Massacreでの映像と、kazuki shinoharaさんが撮影してくれたRe:での映像を使用した。私を呼んでくださった加藤さん、shinoharaさん、改めてありがとうございました。初めてお会いした方も、久しぶりにあった方も。また来年、よろしくお願いします。
Stu Miley - Humanity (Official Music Video)
POSTED BY
Kenji T.
♡
DETUNE.,
DJ EXILEVEVO,
HITOMI MORIWAKI,
K/A/T/O MASSACRE,
KENJI T.,
METORONORI,
RE:,
STU MILEY,
TOIRET STATUS,
WASABI TAPES,
メトロノリ,
森脇ひとみ
12/11/2018
12/10/2018
2018年12月2日・5日・6日
2018年12月2日
食品まつりさんをゲストに迎えてsim radioを放送した。相変わらずリアルタイムで聴いている人は少ないのだけれども、毎回のようにノゾムくんだったり、サクマさんが反応してくれて、有意義だなと安心できている。月に1度ぐらいのペースできちんと続けていきたい。内容について:食品まつりさんとラジオをするのは実は2度目で、1度目のときは私が個人で(いまはラルプリに配信環境の整理は任せている)同じようなコンセプトの放送をしていたときに出演していただいた。3年ぐらい前だったかもしれない。そして今回も相変わらず(?)にユニークな選曲と軽快なトークで、特に印象的だったのが小学生時代からの幼馴染である大崎さんという方についてのエピソードだった。彼の音源をすべて携帯に入れているだとか、彼がきちんとしたリリースに積極的でない故にどうしても世に出したいという熱い思いから食品まつりさんの自主レーベルの設立を計画していることだとか、これほど好きなのに大崎さんは食品まつりさんの音楽はさほど好きではないという漫画のような関係性がとにかく良かった。40歳も手前の彼らが数十年と続ける付き合い、その人間関係は何よりもかけがえのないものなので、そういった友人がいることが羨ましかった。
2018年12月5日
何日か前に品川の原美術館が2020年に閉館することを知った。原美術館は2017年に「INFRA インフラ」が開催された際に一度だけ足を運んだことがあった。品川駅から徒歩15分ほどぐらい。品川プリンスホテルを右手にゆるやかな坂道を登ったところを横断歩道を渡って住宅街を進めば原美術館だ。私営の小規模な美術館で、半回遊の印象的な道のある庭を抜けると、落ち着いた佇まいの白い建物がある。
2018年12月5日
午後に新宿駅の中央東口で待ち合わせ。のぞむくん、cotto center、自分の3人で喫茶店で会話をした。cotto centerは初めて電話したときに異常に声が小さく(機械の不良的な意味)、勝手に暗い印象を持っていたら明朗なキャラクターだったので良い意味で裏切られた。世間話や活動についてなど話し、cotto centerと別れ、羽田空港へ。のぞむくんが空港まで送ってくれた。飛行機ではクヌート・ハムスンの「ヴィクトリア」を読み進めた。窓からは黒く染まった雲海が広がっていた。
食品まつりさんをゲストに迎えてsim radioを放送した。相変わらずリアルタイムで聴いている人は少ないのだけれども、毎回のようにノゾムくんだったり、サクマさんが反応してくれて、有意義だなと安心できている。月に1度ぐらいのペースできちんと続けていきたい。内容について:食品まつりさんとラジオをするのは実は2度目で、1度目のときは私が個人で(いまはラルプリに配信環境の整理は任せている)同じようなコンセプトの放送をしていたときに出演していただいた。3年ぐらい前だったかもしれない。そして今回も相変わらず(?)にユニークな選曲と軽快なトークで、特に印象的だったのが小学生時代からの幼馴染である大崎さんという方についてのエピソードだった。彼の音源をすべて携帯に入れているだとか、彼がきちんとしたリリースに積極的でない故にどうしても世に出したいという熱い思いから食品まつりさんの自主レーベルの設立を計画していることだとか、これほど好きなのに大崎さんは食品まつりさんの音楽はさほど好きではないという漫画のような関係性がとにかく良かった。40歳も手前の彼らが数十年と続ける付き合い、その人間関係は何よりもかけがえのないものなので、そういった友人がいることが羨ましかった。
2018年12月5日
何日か前に品川の原美術館が2020年に閉館することを知った。原美術館は2017年に「INFRA インフラ」が開催された際に一度だけ足を運んだことがあった。品川駅から徒歩15分ほどぐらい。品川プリンスホテルを右手にゆるやかな坂道を登ったところを横断歩道を渡って住宅街を進めば原美術館だ。私営の小規模な美術館で、半回遊の印象的な道のある庭を抜けると、落ち着いた佇まいの白い建物がある。
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思い入れはないが想い出はある。それまでずっとインターネットで知り合った人間関係の先に進まなかった私としては、2017年の「INFRA インフラ」は初めて”人間的”な時間だったので、そこに付随している原美術館についての一報は不思議と切なさを覚えた。そういえば気になっていたリー・キットの展示「僕らはもっと繊細だった。」が開催中だということを思い出し、開館の時間に合わせ、一人で足を運ぶことにした。
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リー・キット。感銘を受けた。SNSで様子を伺った際に窓から差し込む日光のように思っていた光はプロジェクターで投影されたものだったり、実際に天然光だったり、その境界がとにかく柔らかく、不思議な空間だった。あいにく私が訪れたときは曇り空だったのだが、これが日差しの強い日ならばよりそれがシャドーとの対比を濃いものとして効果的だったかもしれない。ただ、とにかく光と影の表現がよかった。例えば私が鑑賞しているその前を別の誰かが申し訳なさそうに通ったとき、プロジェクターからの射光は遮られ人の形をした影が作品を覆う。じっとそれを眺めていると、その瞬間もまた作品に溶け込んだ一部のような気がしてくる。投影や展示されているものと現実のものの線引きが曖昧で、自分自身の存在軸が気持ち良く薄まっていく感覚があった。個人的に特に印象的だったのは階段をあがってすぐの部屋にある、朱色のワンピースを着た少女が映し出されたもの。そこに風が吹いてカーテンが揺れるような演出の映像で、あの瞬間は確実に現実には吹いていない風が私の後方から優しく吹いていた。
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1時間ぐらいかけて1周したがもう一度...といった具合にじっくりと鑑賞し、気づいたときには12時を過ぎており食事時になっていた。3時間ぐらい没入していた。併設されたカフェ・スペースでランチプレートを食しながら、この展示について思慮した。こういう表現をしたい、と想いつつ。
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K/A/T/O MASSACRE vol.199のリハーサルのために幡ヶ谷へと向かう。土地勘がないこともあるが純粋に方向音痴なので順当にいまいち場所がわからず、Googleマップで表示された移動に要する時間の倍ぐらいかかってようやく会場のForestlimitに到着した。主催のカトーさん、CVNのサクマさん、0と永遠の零さんなどがいて、基本的にコミュニケーション能力が低いので明るいふりをして挨拶するも自分のポテンシャルの限界に気付きトーンダウンする。印象が悪いだろうけれど、そういうつもりではないので....。気心知れた人がいてほしいので演者ではないノゾムくんに早く現場入りするよう要請をかけた。リハーサル、といっても自分はCDJで音を流すだけなので、きちんとファイルが動作するかだけを確認させてもらい、開演を待った。
*
0と永遠が良かった。開演間もなく、浅い時間帯で客足もまだまだだったのだが、白い衣装を着た二人が交互にポエトリーを進めていくもので、途中でNHKスペシャルからのサンプリング?なのかはわからないけれど、それはアメーバについてのものだった。声が聞き取りづらい部分も多いにあったが、終始、繊細で、純粋に好みな表現だった。原稿をiPhoneの光で下から照らしており、そのローファイなライトアップも逆に決まっていた。
*
地下街の喫茶レストラン「栞」にてノゾムくんとメトロノリとで晩御飯を食べた。途中からリナチョ、ミキちゃんも合流し5人になった。押していた自分の出番が近づいたので再びForestlimitへ。テーマは「オリンピック」として音を流した。実際には納得できる内容ではなかったが、数年前からコツコツと作り続けている内容をかいつまんだものと、新曲をいくつか用意して、あとはサンプリングを重ねていくだけ。いい加減にライブ・セットらしいライブをしてみたいが当分は上手くいきそうにない。本当にどうしよう。
*
東京に来て大きな音で音楽を流すことができる、というのも勿論のこと嬉しいのだけれども、やはり、私はいろいろな人と会えるのが好きなんだと思う。久しぶりに会う人もいれば初めて言葉を交わす人もいて、それぞれ踏み込んだ会話はできないぐらいに少しずつでしか目を合わせていないのだけれども、それだけで満足だった。初めてLSTNGT、pootee、cotto center、takaoka、オートモアイ、s-lee、cemetery、keita sekihara、bleed boi(敬称略)などと話した。純粋に時間が足りなかった...。諸々が落ち着いたあとに屋上でチルアウトした。非常にタバコが美味しい。最後まで滞在したかったが風邪で体力的に限界を迎えていたのと終電もあり、宿のリナチョのスタジオ「たまごハウス」へ。のぞむくんと近況などについて話した後、眠りについた。
*
イベントについて。通算200回、毎週水曜日に開催。とてつもない胆力だなと感心する。このイベントは間違いなく現行の日本の音楽、ユース・カルチャー、アンダーグラウンド、先鋭の核心的存在だと思います。一定の美意識や哲学を匂わせながら、内輪的でも閉鎖的でもなく、その輪はより太く、大きくなっており、日本中の、大衆的な音楽でないところにも確実にある熱やエネルギーを権威的にならずに集約している様が、とにかく圧巻としか言いようがない。それが実現するのはForestlimitという箱の懐の深さ、ナパーム片岡・加藤両氏の人徳が為すところなのだと。そういったカルチャーの中心地に呼んでいただき、光栄でした。今度はひとりの客としても足を運んでみたい。
2018年12月5日
午後に新宿駅の中央東口で待ち合わせ。のぞむくん、cotto center、自分の3人で喫茶店で会話をした。cotto centerは初めて電話したときに異常に声が小さく(機械の不良的な意味)、勝手に暗い印象を持っていたら明朗なキャラクターだったので良い意味で裏切られた。世間話や活動についてなど話し、cotto centerと別れ、羽田空港へ。のぞむくんが空港まで送ってくれた。飛行機ではクヌート・ハムスンの「ヴィクトリア」を読み進めた。窓からは黒く染まった雲海が広がっていた。
POSTED BY
Kenji T.
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